腕枕と低反発枕

昨日は久しぶりに腕枕で眠った。ここのところまた目覚めと共に理由のない不安に襲われる日が続いていた。以前ほど酷くはないけれど、目覚めの気分はやはり悪い。
この不安な気分が根底に一日中あって、昨日は人の体温を直に感じて眠りたかった。さびしくてとても一人でベッドに入る気がしなかった。週末に泊まりで出かけるはずの彼は突然予定を変更して翌朝早く出ることにした。と言ったとたん私は嬉しくなって今晩は思いっきり甘えようと思ったのだ。
自分がぐっすりと眠りたいときにごそごそと横から寄ってこられると嫌なくせに、自分が不安でたまらない時は相手の事も構わず甘えて寄っていく私は酷く我が儘な女だと思う。過去自分の感情をなるべく抑えて暮らしてきたが、人生半ばの折り返し地点をすぎてからは自分の感情を正直に表すことにしようと思い直した。
以前は腕枕なんて気を遣って眠れたもんじゃなかったけど、いつの間にかそれは私にとって安眠の一つの手段に変わってきていた。自分の都合の良いときだけ側に寄っていくジコチューの私を彼はいつも暖かく迎えてくれる。彼の心の広さにはいつも感謝の気持ちで一杯だ。その温かさに触れてまた自分は立ち直って進んでいく勇気を貰うのだ。
夜明に彼が腕を引っこ抜いた。
あ、ごめんね。痺れてた?私も頭を自分の枕に戻す。
あー。これこの感触、どうして今まで気付かなかったのだろう。似てるよ低反発枕って腕枕の感触にね。暖かさはないけどね。