精霊流し

精霊流し (幻冬舎文庫)

精霊流し (幻冬舎文庫)

今読み終えたばかりなので、まとまった文章が思い浮かばないけれど、一言で言うなら「面白かった」。(ああ、なんて陳腐でサイテーな感想)さださんのファンなら感動にむせび泣くんじゃないかな?
さだまさしの自叙伝的な小説として、映画化もされて話題になっていただけに読んでみたかった。歌の「精霊流し」には青春まっさかりのあのころの自分の思い出があるし。さだまさしの特別な、ファンではないが、アーティストとしてすごい人なんだとは感じる。先日読んだ「解夏」も面白かった。ヴァイオリンは弾くは、歌は上手いし、曲・詩も良いし、おまけに小説も書く人だったなんて。スーパーアーティストなんじゃないの。その上落語もやるなんて、恐れ入りました。
さて、このモノ悲しげで意味有りの「精霊流し」という曲も、ずっと引っかかっていた部分があった。「あなたの為に」のあなたとは誰なんだろう?どうゆう関係だったんだろう?一体この歌にはどのようなストーリーがあったのだろう?なんでヴァイオリンなんだ?と。それが今回この本を読んでかなり解明できた。ちょっとスッキリ。
長崎で精霊流しが過去どのように行われてきていたのかとか、今はどのように行われているのかとか、それが現地の人にとってどのようなモノなのかとかが少し解ったような気がする。今は観光化していると書かれてあったが、その美しくもあり、華やかであり、悲しげな風習を見に行きたいと思った。
でもダメだろうな。きっと私、こうゆうのかなり弱い方だから・・・・それを見ればめっちゃブルーになってしまう自分がわかる。
物語はさださんの過去の糸をたどって行ったり来たりしながら、なんどか精霊流しのシーンがでてくるが、それにまつわるすべて物語は違っていて、過去へ現在へと行ったり来たりする次元の展開が推理小説を読んでいるようであり少しわくわくした。映画も見てみようと思う。私の頭の中ではずっと精霊流し♪が鳴っていた。
解夏」でもそう感じたが、さださんの面白さ暖かさ人間らしさ優しさが溢れているように思った。