リレー音楽祭inアトリウム

M夫人からメールが入った。今年もまたブライトンホテルで音楽祭が開催されていて、本日友人である中丸三千繪さんが出演されるというのだ。去年もお誘いをいただいたが、仕事の都合で行けなくて残念だった。今年はM夫人は都合が付かないらしい。なんとか行けそうな雲行きなので、自転車を飛ばして駆け込むことにした。
久しぶりにオペラを聞いてみたい。しかも以前致知の表紙を飾っていたあの中丸三千繪さんの歌声を是非聞いてみたかった。
ホテルのアトリウムは既に大勢の人で埋め尽くされていたが、3階の回廊正面の場所を確保することが出来た。定刻よりやや遅れて、ショッキングピンクの華やかなドレスをまとい三千繪さん登場。割れるような拍手の中、天から舞い降りてくるような歌声がアトリウムに響き渡った。4曲目くらいから、しだいに声は迫力を増し、ますます伸びやかに広がりをみせ、私たちはすっかり彼女に魅了された。
途中、遅れてきたおばはんが、マナーの悪い行為をしたので、一発喝を入れてやる。いい年して行儀が悪い。多少気分を害したが、中丸三千繪さんの透明な美しい声が清らかに力強く浄化してくれた。
拍手が鳴り止まない。何度も何度もアンコールに応えてくださり、30分程度で終了予定の音楽祭が終わったのは、90分後。
1994年(だったかな?)に宇治の平等院でリサイタルを開いた際、初めてこのブライトンホテルに宿泊された中丸三千繪さんがこの空間で唱ってみたいと提案され、コンサートが実現したのがきっかけで、その後リレー音楽祭が始まり、出演なさるご縁となった。数々の輝かしい賞を受賞され、現在ニューヨークを中心に活動されているらしいが、MCで「最近はナーバスにならずに歌を楽しんで歌えるようになったこと」「自分自身は世界でたった一つしかない楽器であり、それがとても誇らしく嬉しく思える」と現在の心境をお話しされたこと、「1000回目も是非歌わせてほしい」と意欲をおみせになったこと、今まで華やかな花道を歩んでこられているのに「プライベートを含め、最近 人生って思うようにいかないものだと思うようになった」と人並みのことを美しいお顔でおっしゃったことが印象に残った。