水車館の殺人

水車館の殺人 (講談社文庫)

水車館の殺人 (講談社文庫)

館シリーズ第二弾。これはキャラクターがまちまちでなかなか面白かった。トリックは、館とキャラクターに既に設定されていたんだと読了して気がつく。
こんな比較をするのは、比較にならないかもしれないだろうが、東野圭吾が日常の中のありえないどんでん返しの犯罪を扱うのに対して、綾辻行人は非日常的な特別な環境での犯行のトリックを論理的に解き明していく。
水車館のおもしろさは、1年前の事件と1年後の同日にまた不可解な事件が同じ環境でおこり、過去の回想と検証の章と現在の進行の章が交互に登場し、それぞれの成り行きが比較されながらも絶妙に繋がっていくプロットにあると思う。
そして、ミステリーには欠かせない「男と女」のアイテム。いきつくところ、やっぱりそれかよ。と男と女の性の悲しさが根底にある。なぜかゾッとするようなシーンもサラリと感じられ、それよりも解き明かされていく謎にワクワクしてしまう。