A-A'

と言うわけで、萩尾望都は私のカタルシスだ。そのように再認識したのは、A−A’のラストページで不覚にも涙が頬を伝ったから。

A-A’ (小学館文庫)

A-A’ (小学館文庫)

その情動は突然で自分自身に驚いた。大抵、物語はクライマックスを迎えるころ、、くるぞ、くるぞ・・そろそろと と情感が盛り上がる予感がある。しかし、彼女の作品の場合は不意にやってくるのだ。あまりにも唐突で、そして、呆然自失となる。そう、確かトーマの時もそうだった。涙が止まらなかった。3回読みかえして、3回とも泣いたもの。それからは、台詞をおぼえるまで読み返し読み返し。
トーマは難解と言われているが絶大な人気がある。初回から始まった「何故?」はラストシーンを迎えても尚その余韻が残る。先日読んだ文藝別冊で文化人類学者で京都精華大学マンガ学部准教授のマット・ソーン氏が、ユーリが羽を無くした理由についての解説を述べていたが、私の思っていたことと一致していたので、ちょっと嬉しかった。さらに、「残酷な〜」は「トーマの心臓」の大人版だと言及していて、ますます読みたくなった。ただちょっと今勇気を溜めようと思う。自分で思っている以上に萩尾望都は私に衝撃を与えるから。もう少し精神的に落ち着いてから受け入れたい。

このA-A’に収められている複数な作品は、精神の深遠な部分。やや重めでシンドイ感あり。