手紙

土曜日、保護者会行きの車中から読み始め、結局日曜日の夜に一気に読み切ってしまった。amazonの書評では賛否両論だったが、推理小説ではないのに、ぐいぐいと読ませてしまうのは、さすが東野圭吾だと思う。てらちゃん、貸してくれてありがとね。
重いテーマだと覚悟して読み始めたから、ショックを受けるようなことはなかったが、いろいろと考えさせられる事が多かった。文体が淡々と書かれてあるので、感情的になり涙が出るようなことはなかったものの、それだけに、現実の問題として痛みがひしひしと伝わった。人は自分ひとりで生きているのではないということが浮き彫りにされている。
加害者の家族としての視点で書かれているところが、興味深い。罪を犯せば、子孫に影響があることを”因果はめぐる”というが、これは、もっとも身近な家族に与える罪の影響を語っている。そして、無論のことだが、どんな理由であれ、決して「殺人」ということをしては、ならない。それが、偶然のなりゆきにしても、だ。殺人という罪を犯してしまえば、自分だけでなく、自分と縁のある人々にこんなに影響をあたえることを知っておかなければならないと思った。そして、本当に罪を償う言うことがどうゆうことなのか、初めて解ったように思う。逃げながら生きる、隠しながら生きるということがどんなに辛い生き方なのか、痛感する。この気持ち、ふと宮部みゆきの「火車」を思い出した。

手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)

本を読んで、映画を見たいという衝動はやや収まったが、塩尻エリカの関西弁と明るい由美子のキャラを彼女がどう演じているのか見てみたい。由美子の存在が大きなキーワードであり、救いになった。