鉄道員(ほっぽや)

8編からなる、珠玉の短編集である。イッキよみするのがもったいなくって、毎日お風呂の中で1編ずつちびちび読んだ。

鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

「ぽっぽや」の終盤 ユッコの台詞には泣かされた。そしてすぐに映画も見たくなってTUTAYAに走った。
全編とも非常に不思議で、ありえるようでありえない、ありえないようでありえるストーリーにぐいぐい引き込まれた。一貫して共通していると感じたのは「死」と「孤独」と「男女の業」だ。誰かの死によって、人生が違った方向に転がり始める。そして、死んだはずの人が、物語の中では、亡霊となり、あるいは生き霊としてのイメージで、生き生きとしてこの世に甦る。その死者からのとうとうとした台詞にはどれも心を打たされる。浅田次郎は、人の霊(たましい)を描く作家なんだと感じた。地下鉄に乗って もそう。椿山もそう。壬生義士伝もそうだと思う。
あとがきを読むと コレを読んだひとは、鉄道員派、ラブレター派、角筈派、うらぼんえ派と 4派に分かれると書いてあった。むずかしい選択だ。私は、感動度でいえば、鉄道員。作風のおもしろさでいえば、うらぼんえ に惹かれる。でも最終編の オリオン座からの招待状 にも驚かされた。場所が千本今出川。すぐそこやん(^^: しかも、今ではあまり耳にしなくなった京都弁が使われていて、懐かしくってたまらなかった。あまりに、自然なしゃべりだったので、この人京都にゆかりのある人かしらと思ったくらい、方言について、すごく研究されていて呻った。方言は、ぽっぽや でも うらぼんえ でもその土地の言葉の台詞が生き生きとしてして、読んでいて心地よい。
おおなんと! オリオン座からの招待状は 2007年秋に ロードショーされるようだ。主演は、宮沢りえ。りえちゃんの サントリー伊右衛門 のCF大好き。そっと旦那の傘に入り「おかえり」とうつむき加減に言うしぐさがたまらなくいい女だ。 と思わへん? そして、びっくりするくらい京都弁が上手い。
次は・・・お正月に向けて、プリズンホテル でも 行ってみますか。