死にゆく者からの言葉

以前から興味のあった本をゲットした。あっと言う間に読了。

死にゆく者からの言葉 (文春文庫)

死にゆく者からの言葉 (文春文庫)

エニアグラムで有名な文学博士 鈴木秀子さんの著書、この作品は、あけみちゃんのサイトで知った。鈴木秀子さんは、雑誌「致知」でもおなじみの方だ。

人には生まれてくるからには、必ず死が訪れる。どんな形であるにせよ。その死を受け入れ素直に迎えたとき、今までの人生を振り返り残したい(伝えたい)言葉が必ず出てくるという。その時は、燃え尽きそうなろうそくがいっそう輝きをますように、その時人は、奇妙なことに元気をとりもどすのだそうだ。そんな臨終間近の数々の人に立ち会った著者が、死にゆくひとと一体となりわかちあった時間のなかから(自分の人生と仲良しになれる「なかよし時間」と著者は読んでいる)、くみ取った言葉のエピソード集である。
タイトルから受ける印象に反して、本文の内容は愛と生に満ちあふれている。
どのお話を読んでも自然に涙が出てきた。最後まで読んで本を閉じたとき、この涙は、感動とか憐情とかの思いからくるものではなく、幸せとは何かという人生の真理が、私に語りかけてくれたものだと感じ、その喜びからくる涙だと悟った。

鈴木先生が引用されたリルケの詩にハッとさせられた

なぜ、君は待たなかったか、その重みが、
耐えられぬものとなるまで、その時、
その重みは、逆転するのだ、
それはただそんなに純粋だから
そんなに重たいのだ。
             −リルケ 『鎮魂歌』−

もう1つ引用されているグリム童話の「かえる王子」は私も大好きで印象深いストーリーだが、この話に従者ハインリヒの続話があるとは知らなかった。この話がまたとてもよかった。大人になって、もう一度童話の原作・真相を読み返すのも面白いかもしれない。
あけみちゃん よい本を教えて下さってありがとうございます。
少し解りかけてきた気がします。鈴木先生の講演があれば、是非拝聴したい。