きのうの神さま

7&11ブックスでなんとか手に入れたディアードクターの原作本で直木賞ノミネート作品。

きのうの神さま

きのうの神さま

僻地医療 高齢者看護 医者って にテーマをおいた5つの短編集は、まるで切り取られた映画のよう。特に終わり方がそうだった。
最後のページがもう一枚あるんじゃないだろうかと探してしまったのが2作品あった。
できれば普段は言わずに済ませておきたい日常のこころの陰鬱との葛藤があぶりだされた作品ばかりで、真実をついているだけに心にちくりと刺さる。
こうゆう微妙なこころの動きのテーマを映画にしてしまうんだから、凄いなぁ。

映画のディアードクターの中でも、赤貝をノドに詰めて亡くなりそうになっていたおじいちゃんを蘇生させようとドクターが心臓マッサージしようとしたとき、いつも看病していた若嫁がぎゅっとエプロンを握りしめた。親族代表が「せ、先生!ありがとうございました!」と言って、ドクターがマッサージにかかる手を緩めたとき、若嫁が握り締めが拳がゆるんだシーンがあった。
人の気持ちは、こういった動作に表れるんだとハッとした。




本を読んでも読んでも、映画をいくら見ても、心にあいた空虚な穴はなかなか埋まらない。
人事を尽くして天命を待ってていいのか。
人事を本当に尽くしているのか。
精神を強く持って、挫けずしなやかに生きていくしかないよね。