フランチェスコの暗号 下

フランチェスコの暗号〈下〉 (新潮文庫)

フランチェスコの暗号〈下〉 (新潮文庫)

二人の著者が6年かかって書き上げたというだけあって、かなり読み応えがあった。はじめは、サスベンスか推理小説かと思ったけれど、私には最終的にこれは、青春グラフィティなんだと感じた。原題のThe Rule Of Fourは、暗号解読のルールでもあり、4人の友情を表していると訳者解説を読んでなるほどと思った。
時にはスタンドバイミーを思い出し、時にはハリーポッターを思い出しながら、ダビンチコードのような暗い気味悪さが常につきまとう。翻訳本でもあり、ストーリーが時系列てきでないのもあり、薄っぺらく読むと人間関係がが分からなくなってしまうので、1ページ1ページじっくり理解しながら読み進めなくてはならず、なかなかページが進まなかった。なんか比喩が独特で、一読しただけでは、なんのことを言っているのか解らない。外国文学はやっぱりその背景の時代や文化を理解していないとピンとこないもの。

約500年前に書かれたとされている歴史的難解書「ヒュプネロトマキア・ポリフィリ」という作者不詳の実在書の暗号解読を中心に、プリンストン大学の卒業を間近に控えた4人の男の子たちの寮生活での、恋人関係、友人関係での葛藤、卒業を迎えるときの将来への不安、そしてパワハラあり殺人有りとストーリーは、現在、近過去、500年前と紆余曲折しながら、繋がり進んでいく。下巻に入り、いよいよ暗号が解読され、いままでのストーリーが急速に繋がり出す。そして、迎えるクライマックスと最後のどんでん返し。これは、私の希望的観測と合致していたので、読了後安堵を覚えた。でも、ひとつ不可解なことが、ギルとチャーリーの中が最終的に修復不可能なことになった原因って具体的に何? 遡って読み返したが、「言ってはいけないことを言ってしまったんだ。」という表現だけでは、あまりにお粗末でなっとく出来ないよ。

物語の舞台となるプリンストン大学は、映画「ビューティフルマインド」でそのたたずまいが映し出されているらしい。今度借りて見てみたいな。映画もいいらしい。以前予告でみて、ちょっと気になる映画だったけど、精神病をあつかったストーリーがちょっと重いかなって、思っていたことを思い出した。

読了後のなんともいえない甘酸っぱい清涼感は、もう一度大学で学びたい、もとい もう一度大学生にもどって大学で学びたい という気持ちを運んでくれた。