アルツハイマーを知るために

アルツハイマーを知るために (新潮文庫)

アルツハイマーを知るために (新潮文庫)

どらちゃんが貸してくれた1冊。彼女は自宅にアルツハイマーのお姑さんをかかえている。
これは、現代を生きる これから老いを迎える人には必読の書なんじゃないだろうか。

議員・企業の社長会長という役職に就き、絵画や小説を書く多才でインテリであった著者の父親がアルツハイマーに冒され、どんな経緯を経ていったかを具体的実例にもとづき冷静にアルツハイマーを分析し、どのような介護の方法があるのか、自分がアルツハイマーになったらどうすべきかなどとことがとても参考になる。なかでも発症前の絵画と発症直後の絵画や日記等貴重な資料が掲載されていて、とても興味深い。
巻末には、知能評価スケール(アルツハイマーかどうかをたしかめるテスト)も付録として収録されている。
人ごとではない。私には十分可能性があるように思う。
アルツハイマーのことを知ったのは、ずいぶん前に見た映画「恍惚の人」(森繁久彌主演)だった。かなりのショックだった。つい最近では、若年性アルツハイマーを扱った「私の頭の中の消しゴム」「明日の記憶」を見た。この本を読んで病気の進行を一番生々しく伝えているのは、「恍惚の人」のように感じる。そういえば、最近カンヌで賞をとった「モガリの森」も認知症を扱っている。高齢化社会における世界規模的課題だ。
この病気のことをしっかり理解し、自分が介護する立場になったら、或は、介護される立場になったら、その兆候が見え始めたら、どうすべきかの一つの指針となる書の用に感じた。
義母も興味があるようなので、購入し我が家の蔵書としたい。