福田くんを殺して何になる

1999年に光市で起こった少年による母子殺害事件。当初、事件の報道に吐き気を催した。その後、峻烈な処罰感情を訴えた被害者遺族に同情し、当然死刑だろうと思ったし、判決が出た後も今も同様に思っている。しかし、本書を読んで、決して死刑にしてそれで終わりじゃないと考えさせられた。

福田君を殺して何になる

福田君を殺して何になる

少し前にドラちゃんが貸してくれたが、あまりにも忌々しい事件だったから、なかなか読む気になれなかった。だが、加害者が実名で書かれていたり、直筆の書簡が掲載されていたり、取材時のやりとりが赤裸々に書かれあり、問題となった本であるだけに、読み始めると一気に読了してしまった。
時報道で書かれてあった印象とは違い、被告人が酷く幼稚だった事実(今はかなり成長しているそうだが)、不幸な家庭環境、弁護団の仕事ぶりの本質が、フリーライターである著者の執拗と云うまでの執念の取材により明らかにされている。肝心の事件動機がはっきりと書かれいない。主旨は判決への不服と言った単純なものではなく、報道の誤解を解くように感じたが、今後の裁判員裁判のありかたも視野にあり、問われる。法曹界のことについては良くわかっていないが、親のあり方、家庭教育の大切さ、学校教育における道徳学習(修身や宗教や倫理の時間)の必要性を強く感じた。被害者遺族である本村さんの言葉が重い。「彼を死刑にすることで、この国がいい方向になるかどうかはわからないけれども、本当の問題は、死刑をしたくないんだったら、どうしたら犯罪を減らせるかっていうことを、言論に携わる方たちが一生懸命掘り下げてやらないといけないんです」
このような事件が起こる度以前から問題になっている報道のあり方もまた考えさせられた。
ともあれ、もう二度とこんな事件はあってはならない。



うーん、ケータイから打つと文章全体が見えなくて、日本語が変。