というわけで、魚肉ハンバーグなのだ。〜四畳半神話体系/森見登美彦〜

Chumi2008-05-12


入眠導入剤として、ちびりちびりとベッドサイドで読んできた本がようやく読了した。

自分の人生を振り返り、「もしあの時、もう1つの選択肢を選んでいれば、今の自分はもっと有意義な人生を送っていたのではないか?」と思ったことはないだろうか。
もし、あの時、A男(A子)じゃなく、B男(B子)と結婚していれば、いまよりもっと幸せな家庭を・・・もし、あの時、A社じゃなく、B社に就職していれば、もっと出世していたのでは・・・と誰しも揺らぐときがあるのではないだろうか?
そういう不穏な空気に満ちあふれる時は、決まって、自分が現状に満足していないというのが共通項目であるだろう。
実は、(自覚してはいないだろうが)実に他力本願な性質を帯びた発想なんだが。

この本「四畳半神話体系」は、大学3回生になって、「もし、入学したての希望に満ちたあの時、あの時計台で別のサークルに入っていれば・・・」というアナザーワールド・アラウンド・ザ・パラレルの「私」の4つのお話。

1話目を読み終わったときの感想は「んで。どーよ。なんじゃこりゃ?」だった。
2話目を読み始めた時の印象は、「へ??なんじゃこりゃ?」だった。
ところが、3話目に入ったとたん、ジョニーの登場により(爆)、俄然おもしろみが増した。「なるほどー、ソウユウことだったのかー」と。
そして、4話目はとんでもない(1〜3もかなり奇天烈であるが)展開だった。受けた受けた(笑)

1話目、映画サークル「みそぎ」を選んだ「私」。2話目、樋口先輩に弟子入りし「自虐的代理代理戦争」に巻き込まれた「私」。3話目、ソフトボールサークル「ほんわか」を選んだら実は宗教サークルだったという「私」、4話目、秘密組織〈福猫飯店〉に入り、ある日下宿の4畳半から外出しようとして、玄関を開けると自分の4畳半で、窓をあけても隣は自分の4畳半で、4畳半つながりの世界を80日間旅したという「私」。笑えるが、切なくもあり。

まぁ、ありあまる時間に恵まれる大学生ならではの話なんですが。
で、登場人物は皆同じ。常に悪友ozがたちはだかる。しかし、自分の立場がかなり違う(根源的には同じなんだけどさ)キーワードが、「コロッセオ」。これが話ごとに「なにがコロッセオ」なのか違うので、だんだん面白くなってくる。
けっこう、奥が深かったりして。
読み終わり、狐につままれたような気持ちで、もう一回はじめから読んでみようかなとか思ったり。

そして、4話を通して、でてくるのが「魚肉ハンバーグ」(どうやら著者の好物と睨んだ)しかも第4話目には頻出する。

森見氏から受ける影響は意外に大きかった。読み終わり、やたら「魚肉ハンバーグ」というものが食べたくなる。今日のお弁当に思わず入れちゃったよ。サブリミナル効果なのか(笑)。
昨日、スポーツクラブでステップⅠに出て、帰りにクラブ隣の激安スーパー「サンディ」で見つけた。(本当は強力粉を買いに行ったのだがなかった)なんと1袋78円だった。探すつもりではなかった。たまたま視線を落としたところに魚肉ハンバーグが積んであったので、ギョっとして、カゴにいれちゃったんだ。これも何かの示唆かも(どんな示唆や/笑)。

この現象は私だけじゃなかったようだ。
あとがきを読むと解説者も読了後、思わず「魚肉ハンバーグ」を買ったらしい。さらに、「鴨川等間隔の法則」まで、京都に確かめに来られたらしいから、あとがきでも、笑える。
エンタメ。息抜きにどうぞ。自分に投影すると「己」があぶり出されるかもね。

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

1袋78円の魚肉ハンバーグは、悪くない。ただ、1つ疑問が。。。保存料も発色着色料も使っていないのに、どーしてこんなにピンク色なのか?
誰か教えて欲しい。